佐久本弥生さん アトリエ訪問②

リングをお客様に一旦見ていただきサイズを合わせ、サイズの確認ができたので、いよいよ今日は仕上げの作業。

石留と彫りをしていきます。

リングの上半分はあらかじめ艶消しにして、松ヤニにリングを固定します。

 

まずはリングの縁にミル打ちをしていきます。

このミル打ちはお客様が「ぜひに!」とこだわっていらっしゃった加工。

ミル打ちとは、地金の表面に小さな丸い粒の連続した模様を作っていくこと。ミルグレインとも呼ばれています。

 

リングのアウトラインにミルを打つ幅だけを残し、タガネでラインを彫っていきます。

 

一本のタガネで深さと幅を均一に。

ブレること無くまっすぐ彫り進める佐久本さんの手元に見入ってしまいます。

彫り面をマットな艶消しにしてあるので、タガネで彫った跡から地金自らの輝きが顔を出します。

 

彫ったラインの縁をヘラという工具で整えてミルを打つ地金の下地準備完了。

 

 

いよいよミル打ちです。

打ち始めの箇所をルーペで確認してあとは裸眼で。

 

「コン・コン・カン、コン・コン・カン…」

金槌とタガネの音がリズムよく響きます。

1mmにも満たないとても小さな丸い粒を連続して隙間なく均等に打っていきます。

熟練の職人技です。

 

ミル打ち完成!ミルを打つとリングの表情が変わりました。

 

次はダイヤモンドを留める石留の作業。

まずは中央から。

ダイヤモンドが入る穴をあけます。

石留めに使うのは「魚々子(ななこ)」というかわいい名前がついたタガネ。

先端が丸くくぼんでいます。

とても小さくてカメラのズームいっぱいにルーペを使ってもこの程度でごめんなさい。。

魚々子も大小様々なサイズがあり、デザインや石の大きさで使い分けます。

魚々子を含め製作に使うタガネは全て佐久本さんの手づくりです。

ルーペで位置を確認して魚々子の先端を地金にあてます。

石を四箇所で留める「チョコ留め」をします。

ダイヤモンドが留まりました。

ダイヤモンドは合計3石。

中央の石と隣の石の間は彫り模様です。

マジックで彫り模様の下書きをして彫っていきます。

 

画面奥に見える緑色の箱は、沖縄ではおなじみの「明治ジャーミー麦茶」。

お茶好きの佐久本さんの一番のお気に入りだそう。

お茶は佐久本さんのガソリンです。

作業机にはその他にもテレビのリモコンがあったり。

石留も彫りも集中の必要な作業ですが、佐久本さんのアトリエには張り詰めた緊張した空気は全く無く(笑)

テレビではワイドショーをしていて、作業の合間合間にテレビで取り上げられている話題やバドミントンでの話など。

 

油断をしているとあっというまに中央部分の彫りが仕上がっていました。

 

残り2石の石留。

そろばんのような形の先端工具を使い、留める石の大きさの穴を開けます。

 

ダイヤモンド全て留まりました!

早い!!

 

残りの彫りを仕上げていきます。

 

 

全て彫り終えました!

 

リングを固定している松ヤニに火をあて溶かし、リングを外します。

洗浄した後、リングの内側にダイヤのカラット数を打刻機で打ち込みます。

 

「0.037」ダイヤモンド3石合計の重さです。

仕上げに高速で回転するバフにリング表面をあて磨きます。

 

出来たてほやほや。リングの完成です。

 

今回のリングの製作にかかった所要時間はおよそ3時間弱。

流れるような作業、美しい手元に見とれて、あっという間でした。

 

ダイヤモンドの位置や彫りのバランス、着けた時の美しさをなによりも大事にしてると話す佐久本さん。

「当たり前のことなんですけどね(笑)」

と照れ笑い。

 

20年近くジュエリー作りの現場で職人として培われてきた技術と精神力をベースに、身につけた方の手元を美しく彩る瞬間、その笑顔を思い、作り出されたジュエリー。

 

お客様へのお渡しの日が待ち遠しいです。