今回の展示会の奥のテーブルで存在感を放っている小さなオブジェ。
玉城志奈子さんの作品です。
ヒルギをモチーフにしたのは、その見た目の可愛さから。
そして、その生体を調べて更にヒルギに惹かれていったそう。
ヒルギの仲間は陸上での生存競争に負けて、徐々に海辺に追いやられてきたとのこと。
ところがヒルギ達は海辺でも生き残れる術を身につけます。
細い体からニョキニョキ気根を泥中に伸ばし、海水を真水に変えて己の体に取り込むのです。
さらには河川から海への浄化槽としての役目も担える生態系を築き上げ、沖縄の綺麗な海を守ってくれています。
こんな健気で逞しいヒルギに感銘を受け、ひとつひとつ違う表情を持つオブジェにしました。
今回は月夜のマングローブをテーマに、お皿部分に月と葉のシルエットを絡めたデザインを打ち込み象嵌で表現してます。
打ち込み象嵌とは、この作品の場合地金である銅板に、模様となる形に切った真鍮板をロウ付けし金槌で打ち込んで銅板に埋め込んでいく方法。
愛情のこもった小さなオブジェ。ぜひお手にとってご覧ください。
玉城 志奈子 「3と2工房」
武蔵野美術大学造形学部工芸工業デザイン学科卒
沖縄県工芸振興センター金細工研修修了
沖縄では「見えるものと見えないもの」の距離がとても近いように感じます
古くから受け継がれてきた風習や慣習が今でも大切に扱われているからでしょうか
子供の頃には当たり前の風景でしかなかった身近な景色が、とても奥深く感じます
それらのメッセージをできるだけシンプルな形で
デザインし、長く大切に扱っていただけるよう
ひとつひとつ丁寧に制作しています