「なんて美しいリングなんだろう」
初めて佐久本弥生さんのエタニティリングを見せていただいた時、
ドキドキと鼓動が早くなる感じがしました。
ダイヤモンドがぐるりと一周敷き詰められたリング。
側面に細かく施された彫りはまるでリースのよう。
「指にはめたい!着けてみたい!」という衝動に駆られます。
着けると小粒のダイヤモンドが光を受けてキラキラと輝きを放ちます。
このリングを持つ女性の体験談にも驚きました。
佐久本さんの作ったエタニティリングを着けて飛行機に乗った時のこと。
離陸後、機体が上昇し窓から太陽の光が差し込んできたその時、
彼女の座席の天井にキラキラと虹が現れたそう!
現れた虹の原因は彼女の身に着けていたエタニティリング。
きっとその方はふいに現れた虹に驚き、上質な品を持ったよろこびで、しあわせな気持ちになっただろうな。
質のいいダイヤモンドを、正確にセッティングした証を空の上で体感した素敵なエピソード。
石留めも彫りもその技術はとても難しく、正確にできるようになるには相当の経験と技量が必要です。
職人としても長いキャリアをもち、業界内でもその技術への信頼の厚い彼女。
佐久本さんはデザイン学校で学んだ後、宝石加工で有名な山梨の工房で職人として経験を積み、故郷である沖縄へ。
沖縄に戻ってからは、鍛造製法にこだわりオーダーメイドで作品を作ってきました。
鍛造にこだわるのは、永く身に着けてもらいたいから。
鍛造とはその字のとおり金属を「鍛えて造る」製法。
溶ける直前まで熱を加えやわらかくした金属を、金槌等でたたき圧力を加えることで、金属内部の密度をつめながら形成していく製法で、多くの手間と時間、技術を要する方法です。
その分変形などのしにくい強度に優れた品に仕上ります。
リングの形を整えたら、タガネという先端の細い工具でリング表面に模様を彫り、石留めをします。
やり直しのきかない集中と緊張の作業。
驚いたことに彼女の手彫りはメガネも顕微鏡も使わず、裸眼でおこなっているそう!
手先の器用さと優れた視力。生まれ持った資質、培われた技術と磨かれたセンスから生まれる細やかで美しいジュエリー。
ドキドキするリング。
いつか自分用に、いつかこのリングの虹を見てみたいと恋い焦がれる存在です。