ご結婚が決まり、マリッジリングをご検討していたお二人。
あちこちのお店でリングを検討する中で、女性用は華やか、男性用のリングはシンプルなデザインのものが多く、オリジナリティやデザインの面で決めかねていたそう。
ご友人から紹介してもらった弊店のホームページで佐久本弥生さんの彫りの施されたリングを気に入ってくださったそうで、早速佐久本さんと打ち合わせとなりました。
佐久本さんは彫りの専門家なので、お好きな模様のオーダーも可能です。
誕生花や植物など沢山ある彫りの図案を見ながら、
「例えばこんな感じでも彫れますか?」
と男性からアイデアが!
「ト音記号と、反対側にへ音記号とか。。」
男性は音楽に携わるお仕事をされているそう。
次から次へと出るアイデアを紙に書いていきます。その様子を隣で楽しそうに見守る女性。
タガネという工具と小さな金槌を使って一筆書きのように模様を彫る佐久本さんですが、
ト音記号のようなカーブが連続する長い線の模様は初めてだそう。
「たぶん、大丈夫だと思います。。」
いつになく佐久本さんの声のトーンが …(汗)
男性からポンポン飛び出すアイデアに、デザインを描いて応じる佐久本さん。
白熱してきました!次第にテンションも上がり、
「練習します!」
店頭のサンプルリングにマジックペンで図柄を描きおこし、実際のリングイメージが出来上がってきました。
「頑張ります!」
いつもの佐久本さんになってきました(笑)
男性のリングは幅広に、女性のリングは華奢な指に収まりがいいよう彫りが施せる最小の幅で、平打のデザインにメインの図柄をト音記号とへ音記号に決め、リング全周に唐草彫りを施すことが決まりました。
男性は転勤が決まり、3月下旬には沖縄を離れるためその前にリングを受取りたいとのご希望です。
お受け取りの日を迎え、大安吉日。
その日市役所へ婚姻届を提出し、ご夫婦となってリングをお受け取りにいらっしゃいました。
幸せいっぱい!ほやほやのご夫婦の登場です?
店内のBGMを結婚行進曲にして佐久本さんと共にお二人をお出迎え。
いよいよ指輪とのご対面です!
箱を開けると、
「わぁ!」
「おー!」
「ト音記号ちゃんと入っているー!」
奥様のリング幅は3.5mm。ご主人は5mm。
どちらのリングにも、ト音記号を斜めにその両脇にへ音記号を配し、細い線の唐草模様が美しく彫り込まれています。
新郎新婦の指輪の交換、そして記念撮影(笑)
「すごい!とても綺麗!」
「こんな素晴らしい仕上りになるなんて!」
「感動しました!」
想像を超えるリングの仕上りに一同拍手!
ホッとした様子の作り手の佐久本さんを目の前に、思わずご主人が、
「どんな手をしているか見せてもらえますか?」
佐久本さんが手のひらを見せると、
あれ?
予想に反しマメなど全くないきれいな手のひらです(笑)
思わず握手!
「今回はありがとうございます!」
佐久本さんも初めの頃は早さと正確さを求められ、数をこなさなければならない仕事の量に、ケガやマメ等も多かったそうですが、それから20年。
すっかりキレイな手のひらで仕事もできるようになりました。
マットに仕上げた地金面に彫りを施すことで、彫り跡に光が反射して一層キラキラと輝く美しい仕上り。
作り手とともに考えて生まれたお二人だけのリングです。
リングケースは私が作らせていただきました。
奥様の旧姓にちなみ六角形です。
ご主人の単身身赴任で、しばらく離れて暮らすことになるお二人がそれぞれのリングを置く場所として、
いずれ一緒に暮らす時にまたひとつに重ねることができるようなかぶせの箱にしました。
それぞれの暮らしのなかで離れながらもお互いを尊重し、想い合う。そんな素敵なご夫婦になっていくのだろうな。
これからの出会いや出来事がお二人の人生を美しく奏でてくれますように。