佐久本弥生さんのオーダーリングのお渡しの日。

佐久本さんと一緒にお客様のご来店をお待ちしていると、いつものように母娘仲良くお越しになりました。

 

オーダーのきっかけは、お母様がいつも着けてらっしゃるダイヤのリングが少し痩せたためサイズが大きくなったそう。

取れてしまうのが心配だけど、サイズ直しはしたくないとのご希望で重ねづけするリングをお探しでした。

 

店頭にあった佐久本さんのV字リングを試しにVを逆にして重ねて着けたところぴったり!

すぐにオーダーの相談のため、日を改めて佐久本さんと打ち合わせをしました。

 

佐久本さんの話を聞き、お嬢様と相談しながら、店頭のV字リングをベースに、

「リングの縁の点々(ミル打ち)はぜひして欲しい!」

「ダイヤモンドは3石」

というお母様のご希望を盛り込んだ内容でオーダーを承りました。

 

こちらのリングの製作過程は過去のJournalにも掲載してます。(下のリンクからご覧いただけます。)

アトリエ訪問① https://reunir-piece.com/journal/180

アトリエ訪問② https://reunir-piece.com/journal/181

 

いよいよオーダーリングのお渡しです。

 

リングケースを開けて「まぁ!」

 

着けていたダイヤのリングを一旦外し、

「まずは一本だけで着けてみなきゃ!」と薬指に。

「まぁ、素敵!」

そしていつものリングを指に戻し、二本を重ね着け。

 

「まぁ、ぴったり!!」

 

ルーペを使ってダイヤモンドや彫りの細かさを確認していただきます。

 

「ひとつだけ着けても、二つ重ねてもどちらでも素敵ね。」とご満足のご様子。

 

そして、先日の打ち合わせの際、お嬢様からもお直しのご依頼を受けてました。

二本のリングのサイズ直しです。こちらのお直しは私の方でさせていただきました。

 

パールの付いたリングはなんと十三祝いの時にお母様から贈られたものだそう!

「当時、母と一緒に宝石店に行って選んだんです」と少し照れくさそうにお母様をみて。

大事に保管され、パールの艶もリングもとてもきれいな状態でした。

いま着けるには少し狭いそうで、7.5号サイズを8号サイズに。

 

そしてダイヤモンドが一粒付いたリング。こちらもとても思い入れのある大事なリングとのこと。

小指に着けるピンキーリングだったそうですが、薬指に着けたいのでと3号サイズから8号サイズへ。

 

こちらもぴったりです。

 

お二人が二本のリングを着けているのを見て、

「まるでおそろいみたい!」

偶然にも母娘でVの形のリングとひとつ石が付いているリングの組み合わせ!

母娘のリングの記念写真です。

お嬢様の趣味と佐久本さんの趣味が一緒で、編み物の話や、お洒落だったおばあさまのお話をしたり。

今回のリングの製作過程の写真もご覧いただきました。

 

お母様に寄り添い、お母様の言葉のリズムに合わせてゆったりと耳を傾けるお嬢様。

終始にこやかで和やかな雰囲気のお二人。

 

お二人とも「そのまま着けて行きます」と。

その笑顔にこちらまで幸せな気持ちになります。この瞬間が何よりのご褒美。

 

お二人をお見送りしたあと、

「(喜んでいただけて) ホントよかった〜」と佐久本さん。

母と娘それぞれの思いのこもったリング。

それぞれの日々で新しい記憶を刻み、手元で輝き、暮らしに馴染んでいってほしいと願うばかりです。

リングをお客様に一旦見ていただきサイズを合わせ、サイズの確認ができたので、いよいよ今日は仕上げの作業。

石留と彫りをしていきます。

リングの上半分はあらかじめ艶消しにして、松ヤニにリングを固定します。

 

まずはリングの縁にミル打ちをしていきます。

このミル打ちはお客様が「ぜひに!」とこだわっていらっしゃった加工。

ミル打ちとは、地金の表面に小さな丸い粒の連続した模様を作っていくこと。ミルグレインとも呼ばれています。

 

リングのアウトラインにミルを打つ幅だけを残し、タガネでラインを彫っていきます。

 

一本のタガネで深さと幅を均一に。

ブレること無くまっすぐ彫り進める佐久本さんの手元に見入ってしまいます。

彫り面をマットな艶消しにしてあるので、タガネで彫った跡から地金自らの輝きが顔を出します。

 

彫ったラインの縁をヘラという工具で整えてミルを打つ地金の下地準備完了。

 

 

いよいよミル打ちです。

打ち始めの箇所をルーペで確認してあとは裸眼で。

 

「コン・コン・カン、コン・コン・カン…」

金槌とタガネの音がリズムよく響きます。

1mmにも満たないとても小さな丸い粒を連続して隙間なく均等に打っていきます。

熟練の職人技です。

 

ミル打ち完成!ミルを打つとリングの表情が変わりました。

 

次はダイヤモンドを留める石留の作業。

まずは中央から。

ダイヤモンドが入る穴をあけます。

石留めに使うのは「魚々子(ななこ)」というかわいい名前がついたタガネ。

先端が丸くくぼんでいます。

とても小さくてカメラのズームいっぱいにルーペを使ってもこの程度でごめんなさい。。

魚々子も大小様々なサイズがあり、デザインや石の大きさで使い分けます。

魚々子を含め製作に使うタガネは全て佐久本さんの手づくりです。

ルーペで位置を確認して魚々子の先端を地金にあてます。

石を四箇所で留める「チョコ留め」をします。

ダイヤモンドが留まりました。

ダイヤモンドは合計3石。

中央の石と隣の石の間は彫り模様です。

マジックで彫り模様の下書きをして彫っていきます。

 

画面奥に見える緑色の箱は、沖縄ではおなじみの「明治ジャーミー麦茶」。

お茶好きの佐久本さんの一番のお気に入りだそう。

お茶は佐久本さんのガソリンです。

作業机にはその他にもテレビのリモコンがあったり。

石留も彫りも集中の必要な作業ですが、佐久本さんのアトリエには張り詰めた緊張した空気は全く無く(笑)

テレビではワイドショーをしていて、作業の合間合間にテレビで取り上げられている話題やバドミントンでの話など。

 

油断をしているとあっというまに中央部分の彫りが仕上がっていました。

 

残り2石の石留。

そろばんのような形の先端工具を使い、留める石の大きさの穴を開けます。

 

ダイヤモンド全て留まりました!

早い!!

 

残りの彫りを仕上げていきます。

 

 

全て彫り終えました!

 

リングを固定している松ヤニに火をあて溶かし、リングを外します。

洗浄した後、リングの内側にダイヤのカラット数を打刻機で打ち込みます。

 

「0.037」ダイヤモンド3石合計の重さです。

仕上げに高速で回転するバフにリング表面をあて磨きます。

 

出来たてほやほや。リングの完成です。

 

今回のリングの製作にかかった所要時間はおよそ3時間弱。

流れるような作業、美しい手元に見とれて、あっという間でした。

 

ダイヤモンドの位置や彫りのバランス、着けた時の美しさをなによりも大事にしてると話す佐久本さん。

「当たり前のことなんですけどね(笑)」

と照れ笑い。

 

20年近くジュエリー作りの現場で職人として培われてきた技術と精神力をベースに、身につけた方の手元を美しく彩る瞬間、その笑顔を思い、作り出されたジュエリー。

 

お客様へのお渡しの日が待ち遠しいです。

 

 

佐久本弥生さんのご自宅のアトリエを訪問しました。

那覇市の高台にあるご自宅。

 

愛犬のミニチュアダックス「そら」と「ちゅら」に迎えられ(吠えられ)ながらアトリエ部屋へ。

 

部屋の天井にはシャンデリア!

もとは応接間だった部屋をアトリエとして使っているそう。

窓からは那覇市街とその向こうに東シナ海が臨め、眺めも最高です。

元々視力の良い佐久本さんですが、目を使う仕事柄、よく遠くを見るようにしているそう。

部屋を見渡すと、ソファやテレビの他山梨で職人をしている頃から約20年使っている彫金机、バフや圧延ローラーなどの機械もならんでいます。

羨ましいアトリエ設備です。

 

ソファを勧められ、座ると横に大きな箱が。

「この箱何ですか?もしかして作品?」

「この間団体戦で優勝したんですよ〜!」

と箱から出して見せてくれたのはなんと優勝トロフィー!

佐久本さんの趣味はバドミントン。

机の前で細かい作業をする仕事柄、外に出て身体を動かしたいと思った時に近所の体育館のサークルに入ったのがきっかけだそう。

 

「じゃあはじめましょうか!」

今回作るのは12.5号のV字リング。表面に3石のダイヤモンドを埋め、リングの上半分に手彫りを施します。

 

サイズ棒にノギスをあて、作るリングに必要な長さと重さを計算します。

 

必要な量のプラチナを皿に入れ溶かしていきます。

プラチナの融点は1,700℃以上。

眼を保護するため黒いメガネをかけ、酸素バーナーで当てます。

バーナー片手に黒メガネ姿が男前です!

 

火を当て続けて数分。

粉状だったプラチナがひとつに溶け固まりました。

真っ赤です!

プラチナが熱いうちに金槌で叩き、延ばしやすいように角棒状にしていきます。

 

赤かったプラチナの温度がさがり次第にグレーに。

あっという間に角棒の出来上がり。

「どや(笑)」

 

ノギスでサイズを確認し、圧延ローラーでさらに細く長い棒状にしていきます。

 

 

細くなったプラチナに再度火をあててなまします。

湾曲している棒をまっすぐに整えていきます。

 

まっすぐな棒に!

リングの形に整えます。

V字になるよう角棒の端を糸鋸でカットします。

 

V字リングの形になりました。

隙間をつなげるためのロウ付けです。

 

12.5号サイズピッタリに仕上りました!

 

ロウの跡をヤスリで削り、リング全体を磨き整えたあと、一旦お客様にサイズの確認をさせていただきます。

サイズの確認ができたら、佐久本さんの真骨頂、ダイヤモンドの石留め、そして彫りの作業です!

 

 

 

長月の実り 〜六人の秋のカタチ〜

2017年9月16日(土) 〜 9月24日(日)  11:00 〜 18:00 会期中無休

 

高く澄み渡る空、さわやかな風に揺れる草花。

旬を迎えた美味しいものや美しい植物をモチーフにした、とれたての作品がレユニールに届きます。

6人の作り手によるそれぞれの秋のカタチをお楽しみください。

 

[豆皿づくりのワークショップ]

真鍮の板をハンマーで叩いて模様を刻んでカーブをつけて豆皿を作ります。

前日までにお電話かメールでお申込み下さい。

 

日時:9月17日(日)、18日(月祝)、23日(土) 11:00〜12:30、14:00〜15:30

参加費:¥2,800 所要時間:約1時間半

tel 098-988-4461 

mail info@reunir-piece.com