5月、6月と開催させていただいた金継ぎ教室。

講師としてお招きしたアトリエひと匙の濱元朝和さんは彫刻家でもあり、琉球王朝時代の建造物の復元や空間デザインに携わるなど多方面で活動されています。

漆を学んだのもご自身の活動に必要性を感じたことがきっかけだそう。

カルチャースクールで金継ぎ講師をされていた濱元さん。

これまでの経験をふまえオリジナルの手法も取り入れながら、参加していただきやすい内容でまとめたのが今回の金継ぎ教室です。

全3回という短い日程でお一人2〜3点の器を金継ぎしていくため、作業に集中しながらも大らかでユーモラスな濱元さんのキャラクターに終始和やかで楽しい金継ぎ教室でした。

 

初回は参加のみなさんがお持ちになった器をひとつひとつ濱元さんが確認していきます。

「使えないとわかってはいるけど、どうしても捨てられなくて。。」

「お気に入りだけど、この部分が気になって。。」

茶碗のフチの小さな欠けや、亀裂がはいってしまったカップに、大きく割れてしまった皿。状態はさまざまです。

素材も陶器の他にガラスや漆器、中には欠けてしまった天然石をお持ちになった方も。

「この器はあの作家さんの初期のもので‥」

「これはやちむん市で安く買ったものだけど‥」

それぞれが購入した時のことや思い入れを聞くのも楽しく興味深い時間。

一つ一つ手に取り状態を確認して、その状態に合った金継ぎの方法を考え作業手順を示していきます。

器の表面が削げるように欠けてしまったものは「ほつれ」と呼ぶそう。

今回参加者のみなさんがお持ちになった器にも多く見られ、頻繁に使う愛用品ほど多く見られる破損です。

「ほつれ」や「欠け」は生漆とニービ(沖縄産の土を細かくしたもの)を水を含ませながら混ぜペースト状にした「サビ漆」を欠けた部分を補うようにのせていきます。

 

サビ漆をのせたあと、指で表面を整えます。

この時多少凹凸があっても、硬化させたあとサンドペーパー等でなめらかにしていくので大丈夫。

 

大きく割れてしまったものは、まず割れた欠片の断面をヤスリで整えます。

ヤスリで整えた面に、接着剤の役目を果たす生漆と小麦粉と水を粘り気が出るまで混ぜたものを塗っていきます。

塗り終わった断面をしっかりと圧着させマスキングテープで動かないように固定します。

 

漆は湿度の高いところで硬化する性質があるため、発泡スチロールの箱に水を含ませたタオルを入れ、そこへ器を入れ次の一週間ねかせます。

( 下線部  →  水を入れたコップに変更となりました )

硬くなったのを確認したら、漆のはみ出した部分はカッターで削ぐように周りの地の高さと揃え、サンドペーパーを水につけながらなめらかに整えていきます。

漆を塗って、硬化させ、サンドペーパーで整える。

この作業を1回目、2回目で何度か繰り返した後、最終回ではいよいよ金を蒔いていきます。

金継ぎの一番楽しい作業です。

 

前回整えた漆の上にさらに赤い弁柄漆を塗り、箱におさめ15分ほど時間を置いて金属粉を蒔いていきます。

すぐに粉を蒔くと乾いていない液状の漆のなかにどんどん粉が沈んでしまうそう。使用する粉が金粉だと高価なので使用量が大変なことに!

少し時間を置き、ほどよく硬化させてから蒔くことで、使用量の節約にもなり粉のノリも良くなります。

 

金継ぎは名前のとおり「金」がよく知られていますが、チタンやブロンズ、スズなどの粉でも蒔いていくことが可能です。

器の雰囲気に合わせて、どの粉を選ぶか。

一人ひとりが金属の色を決め、金属粉を筆でのせていきます。

金属を纏うとたちまち美しく変わっていく器たち。

それぞれが仕上げていく様子をお互いに見守りながら、

「わぁ綺麗!」

「すごくイイ!」

「器に合ってる!」

と歓声があがります。

「あーかわいい♡]

と小筆で金を蒔きながら手元の器に思わず声をかける方、

仕上がった器を手にいろんな角度から眺めて嬉しそうにしている皆さんの笑顔を見てるとなんともいえない幸せな気持ちに。

きっと器たちも喜んでます。

 

蒔きたてのみなさんの器です!

琉球漆器の高台に金を。

マスキングテープでしっかり養生して蒔いたので、黒い漆に金のラインがくっきりと映えます。

小さな「ほつれ」に金とチタンを。器のチャームポイントになります。

金がそこに蒔かれるのを待ってたような。もはや柄の一部です。

ガラスの皿にチタンを。蒔きたての姿はまるで天の川のよう。

やちむんにブロンズと金。素朴な作品にも自然と馴染みます。

丼の裏、カップの持ち手、下地調整が難しいパーツも丁寧に。ペーパーがけ大変だっただろうな。

 

左はパキっと割れたラインに金を。

右は下塗りの弁柄漆の朱色を活かしながら、柄とリンクさせてスズ粉を蒔いて仕上げた鋺。

 

海の色のようなブルーの皿に金を。

細かく割れた箇所にはとても苦労されていました。

 

小さな「ヒビ」や「ニュウ」にも。

小さな面積の下地を整えるのは根気と集中力が必要。

仕上がった器たちを拝見しているとその方の作業中の様子やお人柄が思い出されます。

ものを愛おしみ慈しむ心に溢れた豊かな時間を共有させていただきました。

 

講師の濱元朝和さん、ご参加のみなさまおつかれさまでした。ありがとうございました。

 

今後も濱元さんと弊店のスケジュールを合わせ、また企画したいと思っております。

今回ご都合が合わず参加できなかった方も、ご希望の曜日・時間帯などリクエストを承りたいと思います。

お気軽にご希望お聞かせください。